住宅街で捕まえた魚を食べる話
外もだいぶ暖かくなり野外で遊ぶには良い季節になってきましたね。
首都圏の川でお魚捕り。良い食材が捕れたのでお持ち帰り。交通費もかかるのでせっかくなので食費分くらいはお金を浮かせたいのです。
今回はカムルチーを調理しました。同じタイワンドジョウ科のタイワンドジョウと共に「ライギョ」と呼ばれ釣り人には馴染みのある魚です。タイワンドジョウ科の魚は「スネークヘッド」と呼ばれこのカムルチーとは異なり体色が派手なものも多く観賞魚として人気があります。最大で全長90cm近くになる大型魚で今回用意したのは全長60cmほどのよく見るサイズのもの。
カムルチーに関し特筆全てすべきはその呼吸方法です。鰓付近に上鰓器官という特殊な機構をもち、直接空気から酸素を取り込むことができます。空気から酸素を取り込むことはできますが、二酸化炭素の排出は他の魚と同様に鰓で行うため上鰓器官のみでは生きることができません。また、上鰓器官への依存度が非常に大きく、鰓のみからの酸素ではこれまた生き残ることができません。空気から酸素が得られなくなると魚のくせに溺死します。しかし、他の魚類とは比較にならないくらい強靭な生命力を持ちます。事実、クーラーボックスに水なしで数時間放置した後に自宅の浴槽に投入しましたがピンピンしていました。大胆な生体管理は一人暮らし大学生の特権。
蛇を彷彿とさせる大陸チックなビジュアルの通り外来魚です。日本のカムルチーは今からおよそ90年ほど前に朝鮮半島から食用目的で移入されました。国指定の要注意外来生物でブラックバス類、ブルーギルの陰に隠れがちですが在来生物の生存を脅かす存在です。要注意外来生物は自治体によっては放流が制限されているので一応取り扱い注意です。外来種じゃなくて在来種であれば放流していいのかって話。日本各地のアユ放流とか海づくり大会での天皇陛下による美化された種苗放流とかいろいろと思うところがありますが...。これ以上は脱線するのでやめておきます。
あまり長いこと生かしておくと情がわくのでその前に「えいや!」と解体します。力が非常に強い魚なので冷凍庫で仮死状態にするか頭部を強打させて気絶させることをおすすめします。ちなみに今回はどちらも怠ったので浴室内に大量の血飛沫が飛び散るハメになりました。また、体表の粘液が多く厄介なので捌く前にたわしでゴシゴシ洗うか身に火が通らない程度に熱湯をかけるのが粘液を固めてしまうのがいいです。ちなみに今回は亀の子たわしを2つダメにしました。あと歯が鋭いことにも注意して下さい。噛まれると外科送りになります。内臓の入り方?浮袋の長さ?が特殊なので骨の入り方が他の魚と違うことにも注意するといいかもしれません。
しっかりとした白身でナマズのクニャクニャした感じとはだいぶ違います(ナマズ料理 - 蝦)。海水魚でいうとタイやボラに近い印象。刺身でも食べられそうですが顎口虫という寄生虫の中間宿主のため海水魚のアニサキスにあたるのとは別次元で危険なので加熱推奨です。一度冷凍して...とも考えましたが家庭用冷蔵庫の冷凍では心配だったので自粛しました。どうなってもいい人は試してみるといいです。使用した調理器具からも寄生虫症の恐れがあるのでしっかりと熱湯消毒してください。僕はしていません。
皮が強いので汁以外は皮を引きました。レシピはクックパッドから流用すればいいとい思います。
・フライ
しっとり、あっさり、しっかりした肉質で油を使った料理とよく合います。鶏肉に似てると表現されることが多いですが鶏肉のそれとは結構違うかもというのが個人的な感想。めちゃめちゃやわらかい鶏肉みたいな...よくわかりませんが美味しいです。身はあまり主張してこないので個性を殺さないためにも下味薄いほうがいいです。あとでソースかければいい話ですしね。僕はタルタル派です。
引いた皮は素揚げにしてみました。「うまい魚の味がするゴム」でした。味自体は身よりいいです。食感はゴムです。皮に関してはもう少し長く揚げてもいいかもしれません。
・あんかけ
クックパッドに載っていた白身魚のあんかけをライギョに替えただけです。無難に美味しいです。
・ライギョ汁
2匹分のアラを塩と長ネギの青いところで煮ました。顔肉は食感が良く食べ応えがあります。わりと長い時間煮ていたので気になっていた皮もトロトロとしています。塩のみの味付けとは思えないほど上手い汁でした。写真ではわかりませんが頭骨の裏側部分の上鰓器官がまあまあグロいので若干食欲を削がれます。あと顔が怖い。
・ライギョ飯
残り汁でご飯を炊き、解した身を入れました。普通に鯛飯って言って人に食べさせても分からないと思います。少し固めに炊きあがってしまったのが残念でした。
淡水魚特有の臭みは全く感じられず非常に優秀でした。もともと食用で持ち込まれた魚なので美味しいのは当然と言われればそれまでかもしれません。原産国であるアジア諸国では油で揚げてから香辛料の効いたスープで食べることが多いようです。丸ごと揚げてお皿に盛ればそれはそれは映えることでしょう。ご家庭ではできませんけどね。皆さんも手頃なライギョを手に入れる機会があれば調理してみてください。
ライギョ汁を濾してから化学調味料と黒胡椒を足してラーメンを作りましたが正直これが一番のヒットでした。化学調味料とラーメンはすごいです。
おわり
なんとも言えない仲
健康診断
友達
龍口酒屋 本店
ナマズ料理
前月の話になります。
友人と魚採りをしていたら綺麗なナマズが採れました。
そういえば今年は黄色のサンマやら白いクロマグロやらが取り上げられていましたが、あれは先天的なもの(アルビノ、リューシスティック)です。このナマズはそういったものではなく段々と色が抜けた個体みたいですね。
ちょうどいい大きさなので食用にお持ち帰り。
よく見ると鰓蓋や臀鰭が黒いです。
風呂場の浴槽で生かして眺めていたりすると情が湧いてしまうのでその前に「えいや
あ!」と解体します。ナマズは鱗がない代わりに粘液が多く捌きづらいので
熱湯をかける、またはタワシで必死に擦ってヌメヌメを処理するのがベターです。
ちなみに今回は両方とも怠ったので指を切りました。
身を三枚に卸してフライパンで焼きます。フィッシュロースターがあればそちらの方がいいです。魚が臭くなる原因は焼きが足りないことが多いのでしっかりと焼きます。イイ感じに焼けてきたら砂糖、醤油、酒、味醂を適当に混ぜて作った蒲焼きのタレを投入。きれいに焼き色がついたら丼に盛って完成です。今回は並行してアラ汁も作りました。
住宅街産のナマズ蒲焼き丼 大学から拝借してきたししとうを添えて
癖のない味で美味しいです。切り身の状態だと身が非常に柔らかく少し心配になってしまうのですが、身に火が通ればしっかりとした白身になります。この個体は脂があまりのっていなかったのが少し残念。
ナマズのアラ汁
少しの塩と醤油で味付けしました。魚の味が感じられて美味しいです。
別の日に別の河川でまたナマズが採れたのでこちらも調理しました。
こうやって比べてみると色の違いがはっきりしますね。
今回はフライにしました。
前回の個体とは打って変わって脂の乗りが良く、魚の味も強く感じられました...がフライにしたことで脂×油になってとても油っこい代物に。また皮が固く噛み切るのが大変。臭くて固いガムを食べているようでした。ナマズを揚げるときは皮を引くべきだということがわかりました。皆さんもナマズを料理するときに参考にしてください。
首都圏でも場所さえ選べば美味しい自然の恵みを頂くことができます。皆さんも是非挑戦してみてはいかがでしょうか。ちなみに2回の採集で交通費が8000円ほど掛かっているので、冬の川で寒い思いをするよりも素直に8000円分美味しいご飯を食べたほうがいいです。